文鎮乗せのランカーヒラスズキ 96cm

ここの所、実はスランプに陥っていた。
ホームの房総でホゲが数回続くと言う、情けない有り様・・・
魚との歯車が完全に噛み合わない釣行が続き、自分の釣りを完全に見失っていた。

でも、僕は知っている。
諦めなければ必ず良い結果が訪れる事を。夢が叶う事を。
それが釣りにも当てはまる事を、嫌な程知っている。

ここから先は、興奮が冷めないうちに現場で書き殴った文章を元にリメイクしたものです。
激闘の様子が伝われば嬉しく思います。最後まで読んで頂ければ幸いです・・・!

この日は朝起きてから釣り場の選択、磯に着いてキャストをするまでの迷いが一切無かった。
自然と身体が動いていた、持ってる日ってだいたいこんな感じ。

釣れる時って、頭であれこれ考える前に身体が先に動いている。
逆に僕の場合、頭を使って考えすぎると空回って釣れない事の方が多い。

薄明るくなってきた頃、磯に向けて歩き出す。
立ち位置へ着いてから海を見て、ふと何か予感めいたものを感じ、ロウディーのフックをジャンプライズトレブルMMHの3番の新品へ変更した。

持ってる時っていつもこんな感じ。
自分の行動全てが、無意識に正解を辿る。

一際強いセットの波で出来るサラシを目掛け、強く吹き付ける南西風を斬って放った運命の1投目。

「ゴン!!」

主導権を握ろうと、モンスターバトル105をバットからブチ曲げてタメる。…が、この魚には通用しなかった。

ズン、ズン、ズン・・・と潜っていき、ロッドがのされた直後、凄い勢いで走り出した。 (これ走る魚だ…!マダイか?ヒラマサか!?)

ふと昨年、メーターに迫るようなヒラスズキをバラした時もこんな感じだった。
ヒット直後に潜っていき、そこから加速して走り出し、思い切りポンピングした所でいきなりラインが浮いてきてエラ洗いされてバラした。

その時の事を思い出し、慎重に様子を伺うと・・・いきなりラインが浮かび上がってきた。

(やっぱり・・・!)
慌ててロッドを下げ、エラ洗いを最小限に抑える。

「ゴボッ!ゴボッ!」

(なんだあのデカさは・・・!)

直後、いきなり約10m程ラインを出され、強く払い出す流れに乗って岬を回り始めた。

根にラインが擦れ出し、確かな根ズレの感触。何とかしたいが、この立ち位置ではどうにも主導権を握れない。

岬の先端の波の様子を伺うが、何回に一回セットの波が岬の先端を呑み込む。

脳裏に(深追いしない方が良い魚かもしれない)と言う文字が浮かんだ。

でも、一瞬姿の見えた怪物。この魚は絶対に獲りたい・・・!

心の高揚が恐怖心を打ち消した。

ココは譲れない、勝負する所だ。

波のタイミングを見て岬の先端へ走っていき、数回ポンピングを入れて魚を浮かせ、波が来ればオープンベールで後方の壁へ走って後退。

波が落ち着いたタイミングで走って前へ出て、ラインに絡まったフジツボを1つ1つ外していき、1、2回ポンピングしてまたセットの波を交わす為に走って後方の壁を駆け上がり回避。

この動作を何度繰り返したかわからない。とても長い時間に思えた。

後半は足がついてこなくなって前のめりに転んだり、タイドプールにハマったり、息が切れて目眩が…

それでも何とか岬を回す事に成功し、裏側のワンドへ魚を誘導する事に成功。
ゆっくりと浮かび上がる銀色の巨体。マジでデカい・・・

やがて、魚が完全に水面に浮いた。ようやく観念してくれたようだ。
フッキング位置は悪くない。3本共しっかりフッキングしている。

無理矢理低くなった場所にズリ上げるが、スグに次の波にさらわれてしまう。
他にズリ上げる場所は見つからない。ワンドまで誘導したはいいが、さぁどうする?

迷った結果、低くなった位置から自分が水の中へ入り、ハンドギャフで魚をキャッチする作戦に。

目の前には見た事も無いサイズのヒラスズキが浮かんでいる。いよいよ緊張のランディング。
(絶対に失敗出来ない…)理性を保つのに必死だった。

恐る恐るリーダーを掴む。焦ってギャフを入れるも失敗。
変な場所に掛けてしまったらしく、引き揚げたら身が切れてしまった。

2度目のトライで今度はしっかりギャフ入れする事に成功。そのままストリンガーのロックを閉じる。

勝負アリ。勝った・・・!
手中には見た事の無い大きさのヒラスズキ。

・・・久々に心が震えた。

ジャンプライズトレブルMMH#3が3本共ガッチリとフッキングし、変形なくホールドし続けてくれた。
朝のフック交換は正解だった。

慌ててギャフを掛け直したせいで、エラに入ってしまったらしく大量に出血してしまった。
魚には申し訳ないけど、掛ける場所を選ぶ余裕が全く無かった。
このサイズが釣れたら初めから魚拓にするつもりだったので、今回はキャッチを優先し、ギャフを使用させて頂きました。
このヒラスズキは家で美味しく頂きます。

タイドプールに魚を入れ、改めて釣り上げた魚を眺める。
夢じゃないだろうか?この魚は間違いなく90cmを楽に超えている。

思わず空に両手を突き挙げ、雄叫びをあげた。
全力でこの魚と対峙し、勝利した喜び。

もう、叫ばずには居られなかった。

キャッチしたのはヒラスズキ 96cm!
夢の95cmオーバー、まさに怪物。

ホームの房総でこの1匹と出会えた事。
壮絶な無駄を繰り返すトライ&エラーの日々の中で、この1匹と出会えた事が本当に嬉しい。

残念ながらアフターで痩せていましたが、今までの自己記録6cmも更新する事が出来た、絶対忘れられないメモリアルフィッシュ。
ちなみにマル、タイリク、ヒラ3種を合わせたシーバスの中でも自己最長記録となりました。

ヒラスズキのサイズには80cm、85cmと言う壁があって、次に90cmと言う厚い壁があると思っている。

次に待ち受けている95cmの壁は更に厚いと思っていた。
実際この2年間90cmを超えるヒラスズキには出会えなかったし、井上社長も過去に95cmを超えるヒラスズキはメーターオーバーの1本だけだと言う。

今回、95cmの壁を壊す事に成功したがそこで満足しないのが釣り人。
上があるなら目指してみたい。
終わりのないのが「釣り」だと思っている。

となると、次に待っているのはヒラスズキのメーターオーバーと言う、一番厚い壁。

ここまで来ると、本当に未知の領域となってくる。

1mまで、あと4cm、、、
この4cmが途方も無い距離に思えてくる。

何年かかるかわからないけど、死ぬまでに叶えたい夢。

さぁ!あと4cmを詰める旅の始まりだ!

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大魚晩成!諦めなければ、夢は叶う!

~タックルデータ~

ロッド:オールウェイク105 monsterbattle プロト(ジャンプライズ)
リール:15’ツインパワーSW4000XG(シマノ)
ライン:アップグレードPE1.5号(よつあみ)
リーダー:DMVナイロン8号(よつあみ)
接続金具:コンビリング#3(ジャンプライズ)
ルアー:ロウディー130F レッドヘッドマグマ(ジャンプライズ)
リング:スプリットリング#4(N.Tスイベル)
フック:ジャンプライズトレブルMMH#3×3(ジャンプライズ)

~ウエアデータ~

・ロックショアベスト レッドステッチ
・システムアップバッグⅡ レッドステッチ
・アナトミカルタイタニュームグローブ M
・ADメジャー (アングラーズデザイン)
・メッシュキャップ ブラック
・ターポリンポーチ レッド(ジャンプライズ)
・ウォームベスト
・グラスパーヘビー カーボンver.(DRESS×スタジオコンポジット)
・爆光ライトさんの爆光ライト
・5ミリ セミドライスーツ
・大同 磯タビ

写真協力:釣り仲間の角田さん

Report…鈴木良幸 鈴木良幸の日本一周釣行脚