筑後川のランカーシーバス 91cm

「釣り」は「趣」・・・!
常々「釣り」は「趣」だと思っている。
様々な「釣り」があり、そのそれぞれにそれぞれの「趣」がある。 「鱸」を「陸っぱり」から「ルアー」で釣ることに関しても「河川」「港湾」「サーフ」「磯」などフィールドも様々であり、そこでのスタイルも様々で当然「趣」もさまざま。 そのそれぞれの「趣」に優劣をつけたがることに何の意味があるのだろうか・・・? そんなことを考えさせられる今日この頃です。

北部九州を流れる大河「筑後川」は河口から23kmの地点に筑後大堰を構え、その下流域には有明海から溯上してくる「鱸」が生息しており、それは大型であることが多い。
毎年、私の知る限りでも、メーターオーバーが数本は確認できるこの「筑後川」をメインフィールドとして釣友をはじめ仲間達と通い、フィールドの解明を日々おこなっている。

そして今は現在の「筑後川」というフィールドに正面から向き合い、その自然のパズルを仲間達と解き明かすことにやりがいを見出している。
今年の冬から早春にかけて見出すことのできた「バチパターン」に伴う筑後川ミノーメソッドの開発などは真にそれに当てはまる。

そして本日の筑後川フィールドは「春の嵐」で荒れ模様。
こんな日は、大概「All or Nothing」のギャンブルでキャッチできると大きいことが多いのだが、魚信(アタリ)さえないことも多い。
低気圧の影響で風が強く、しかも定まらない。
雨の影響で増水気味。
明日は「寒の戻」の予報。

「たぶん・・・今日しかない!」
要するに「こんな日」自体が「ピン外し」の状況なのである。
セオリーと言われる明暗の釣りはそこそこの大きさと数は出るが、超ド級は出なかったりする。
そして超ド級は明暗から少し離れた岸側の最暗部などからあらわれたりする。
そうした「ピン外し」の状況が春の嵐の天候によって「この日」自体を「ピン外し」にしてくれているとカンジていた。

しかし、風は強く心は折れそうになる。
風向きが変わる時には必ず風が弱まると信じてキャストを続ける。

3月に入って「アワセ切れ」を連発していた。
「アワセ切れ」などを連発したりすると深いスランプにハマり込んだりすることが多い。 まして、仲間達はここ最近で結果を出していた。
「釣り」は「趣」なのだと思っていても「焦る」自分がいるのもまた事実。 焦っても仕方がないのだが、そうした自分との「葛藤」を抱えながらキャストを通してフィールドに問いかける。
いや、たぶんそれは自分への「問いかけ」なのだろう・・・!

「この季節」 → 「この潮」 → 「この時間」 → 「この場所」 → 「この流れ」 → 「このルアー」 → 「このメソッド」なのだ・・・!

フローティングミノーをダウンストリームに送り込む。
流れのレーンを少しずつズラしながら、適度な流速を探る。
そのことに集中した「その時」、筑後川の「河の扉」が開いた。
「ゴツッ・・・!」 力強い魚信(アタリ)だった。
一拍おいて慎重にアワセを入れる。
流れが重く、手応えが怪しかったが、魚はついているようだった。
しばしの怪しい手応えの後にダウンストリーム側から
「ガバッガバッガバッ・・・!」
と激しく大きく水面が炸裂した。
「間違いなく鱸!しかも、デカイ・・・!」
ここ3年で6本のランカーをキャッチしているが、なぜだが今日は興奮していた。
そして興奮している自分が認識できた。
「落ち着け・・・!」
自分に言い聞かせる。
愛機ステラのドラグが何度も悲鳴を鳴り響かせるが一向に浮いてこない。 ダウンストリームからアップストリームへと行ったり来たりを繰り返しながらも
「キャッチできるのか・・・?」
と嘲笑い問いかけるような不意の沖への突っ込みを繰り返す。
そうしながらも、やっと浮いてきた。
と思った瞬間・・・ こちら側へ向って大きく口を開けてテールウォークしながらのヘッドシェイク。
「一筋縄ではいかない・・・彼はもうアフターの個体なんかじゃない・・・!」
このサイズでこんなに激しいテールウォークするのは珍しい。
前回の今年1月の100cmの鱸は1度のジャンプもしなかった。
何度かランディングをやり直さなければならず、ランディングにもたついて冷や冷やしたが、最後は慎重に何とかオーシャングリップでキャッチ。
フローティングミノーが頭から出ただけの最高のフッキング。

これで助かった・・・! バイトの力強い感触からも、そのファイトからも、その重さからも、
「彼」はアフターからすでに回復していた。

91cm 6.7kgの尾鰭に辛うじてアフターの名残が残る堂々のランカー!
このクラスになると蘇生が難しい場合が多いのだが、アフターからかなり回復基調の「彼」は鰓に水を送るとすぐに回復してくれて元気に筑後川へ帰っていってくれた。
「ほっ」とした安堵とともに嬉しさが込み上げてくる。
残念ながら、単独での釣行で魚との撮影はできなかったが、この「彼」との出逢いに真に感謝である。
そして、この出逢いの「場」を提供してくれる「筑後川」のフィールドにも感謝・・・!
ピン外しの「今日」と思いそして信じた結果の「彼」との出逢いの余韻に珍しくいつまでも冷めずに興奮している自分がいた。
いろいろな意味において「趣」のある感慨深い記憶に残る一本!
こうした出逢いをこれからも重ねていきたい。

Tackle

Rod:Shimano Game AR-C S1006L
Reel:Shimano 07 STELLA 2500
PE Line:GOSEN GL-701 剛戦Xsw 20Lb.(♯1.2 ) 150m
Shock Leader:Duel Sea Bass Leader 20Lbs. Fluoro Carbon
Lure:Floating Minnow/シマノオシアミノーヒラメスペシャル 125F ヒラメゴールド

筑紫次郎・・・「筑後川 鱸(シーバス) 通信」